《外装カーテンウォールとのマッチング》
当該建物の外装カーテンウォールは、メタリック系粉体塗装を施すことで金属光沢を演出することにしたわけであるが、そのテクスチャーをいたく気に入られた設計者から「開口部のドアも同一の仕上げで出来ないか?」との要請が出された。現設計は外部仕様ということでステンレス建具が考えられていたが、質感の違いを何とか払拭したいとの要望であった。
環境対応型高品質焼付け塗装システムの日本における展開について(文:野平修氏)*
Chapter 6
─ B横浜ビル ─
施主: B(株) 設計: (株)Y設計 施工: 鹿島横浜支店 ドア製造・施工: コーシン ドア粉体塗装: カドワキカラーワークス
当該建物の外装カーテンウォールは、メタリック系粉体塗装を施すことで金属光沢を演出することにしたわけであるが、そのテクスチャーをいたく気に入られた設計者から「開口部のドアも同一の仕上げで出来ないか?」との要請が出された。現設計は外部仕様ということでステンレス建具が考えられていたが、質感の違いを何とか払拭したいとの要望であった。
外部仕様なので、防錆力は不可欠である。しかし、ステンレスに粉体塗装では、付着力も悪いし、コスト的にも現設計より高いものについてしまう。そんな時、タイガーコーティング社でドライプロテクトという防錆用粉体塗装60μ +仕上げ用高耐候性ポリエステル粉体塗装60μをスチールに対して施工する仕様を有することに辿り着いた。これならば、設計者の要求するイメージを実現できるし、現設計よリコストダウンも図れる。すぐに採用が決まった。
通常のスチールドアといえば、合成樹脂調合ペイントで現場塗装するというものであった。常温での塗装であり、決して塗膜硬度も高くないことから、取っ手回りなど手がよく触れる部分では塗膜の剥離がよく見られ、意匠的に見苦しいだけでなく、メンテナンスもバカにならなかった。
外部といえばステンレスのヘアライン仕上げや鏡面仕上げが多用されてきたが、SoxやNoxといった酸化物や海塩粒子がたくさん浮遊する地域では、ステンレスといえどももらい錆という現象がかなり見られ、近年、耐食性に疑間がもたれるようになってきている。
外部に粉体塗装仕上げのスチールドアを採用するには、密着性試験、鉛筆硬度試験、耐溶剤性試験等を実施し、塗1莫の健全性を確認する必要はあるが、その意匠性の良さやテクスチャーのバリエーションの豊富さから、今後益々採用が増えていくものと考えている。
*野平修氏 野平外装技術研究所代表 元鹿島建設建築本部技師長