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環境対応型高品質焼付け塗装システムの日本における展開について(文:野平修氏)*

エピローグ

建築内外装材に対する粉体塗装仕上げの将来

─ 高耐候性ポリエステル粉体塗装からフッ素粉体塗装へ ─

フッ素粉体塗装

施主: 鹿島開発事業部 設計: 鹿島中部支店 施工: 鹿島中部支店 カーテンウォールメーカー: 昭和リーフ(中国昆山工場) ガラス: 大興物産海外事業統轄部

《粉体塗装との巡りあわせ》

私が初めて粉体塗装に出会ったのは、2005年10月であるから、今年でもう9年弱となる。小生が初めて、いわゆる高寿命の焼付け塗装材、強溶剤型熱可塑性フッ素樹脂焼付け塗装システムにであったのが、1987年35歳の時で、しかもアルミの表面処理日焼付け塗装の大家、Tチーフにおんぶに抱っこ状態であったから、どちらかというと楽な立場であった。一方、粉体塗装を紹介された時点では、後にも先にも、私以外、粉体塗装を支持する者はいなかった。粉体塗装に初めて出会った時の『これはいける!』との自分の内面からの声を信じて行動するしかなかった。

《粉体塗装したS1ビル、そして・・・》

日本で初の粉体塗装によるカーテンウォールが仙台に誕生した時、そう大きなビルではないが、感動は人一倍大きかった。ところが、「何で粉体なの?カイナー500でいいじゃない。」という声があちらこちらから聞こえてきた。『なせばなる。』、『信念、岩をも通す。』とはいうが、幾ら図々しい私でも一時はへこんだ。しかし、『これからは環境を配慮した生産方式を取り入れるのが技術者の責務である。』を座右の銘にして、“戦う技術者"として粉体塗装に取り組み、いつの間にか10物件を越えるに至っている。

シリーズ75 密着性試験

シリーズ75 密着性試験

シリーズ75 耐溶剤性試験

シリーズ75 耐溶剤性試験

《高耐候性ポリエステル粉体塗装と共に》

日本は、何かというと、『実績、実績!』という人が多い。実績で勝負する限り、チャレンジ精神は芽生えてこない。長期安定性を望むなら、実績にこだわることもよかろう。しかし時代はいつも変化し、ニーズは変わっていくものである。ここに実績主義の限界がある。いつかジリ貧となる時が来る。「高耐候性ポリエステル粉体塗装なんて、カイナー500に比べたら性能が落ちるでしょ。」、よく聴く言葉である。しかし、カーテンウォール部材として、ヨーロッパで、アメリカで、そして東南アジアで数多くの物件が粉体塗装で仕上げられている。日本だけが例外であるはずがない!私はその信念で6年弱を過ごしてきた。数々の物件を様々な仲間達と実践してきた。その喜びは計り知れない。きっと今後も発展させ続けていくであろう。その事に悔いはない!

《日本で100年建築を目指す!》

最近、日本でもメンテナンスフリーであるとか、“100年建築“といった、高寿命建築物が要求されるようになってきている。当然外装材にも高耐久性が今以上に要求されるようになるであろう。“高耐候性ポリエステルとフッ素のハイブリッド粉体塗料"の出番も近いものと思われる。現在、軽金属製品協会の粉体塗装調査研究委員会で知り合った仲間何人かと外資系のハイブリッドフッ素粉体塗料の性能評価に入っている。密着性試験、耐溶剤性試験等、いずれも初期値では高性能を示している。いずれ、促進劣化試験結果も交えて成果を公にしたいと考えている。また、内部環境に対しては、カスタム塗装の積極的採用を行い、建築の見せ場であるメインホール、ロビー等でその雄姿をお見せしたいものである。“夢見る還暦おやじ"である。

*野平修氏 野平外装技術研究所代表 元鹿島建設建築本部技師長

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