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技術スタッフによるコラム

特別掲載:2015年学会賞 ②

技術開発賞「学会賞を受賞して」

(株)マルシン 後藤善光

この度は身に余る受賞に当り、ご推薦頂いたものつくり大学の近藤名誉教授、選考委員会の委員長はじめ各委員また「建築用アルミニウム合金材料塗装標準仕様書・同解説」に係わった委員の方々に厚く御礼申し上げます。

私が長年にわたり建築用金属材料の加熱硬化形塗料の塗装に携わり、国土交通省標準仕様書をはじめ多くの設計事務所やゼネコンが出している仕様書、使用する塗料メーカーの推奨する塗装仕様等を総合して社内の中で標準化して工場塗装の確立に努めて来ましたが、一企業の取り組みでは常に色々な指摘の繰り返しを余儀無くされて参りました。

また、工場塗装で非常に大切な素地調整の化成処理におけるクロムフリーの声が高まりを見せて来て、自動車・電機メーカーでは既に完了しておりますが、要求性能が高い建材に於いても取り組んで行かねばならない時代が来た事を強く感じます。現在のアルミニウム合金材料工場塗装工業会設立のきっかけとなる勉強会を立ち上げたのが13年前でありました。しかし、その頃はまだ化成処理薬剤メーカーも建築建材が求める要求を理解しているとは言い難く、特に裸防錆を主眼において塗装下地としてのクロムフリー化成処理の感覚が無い状態で、とても直ぐには建材を中心とした塗装工場ではクロムフリーへ踏み込む状況には在りませんでした。

そんな思いを持ちながら、日本建築仕上学会に於いて2004年度から2009年度で実施された「焼付け塗装標準化検討委員会」及び2010度から2014年度に継続実施された「環境配慮形塗装仕様検討委員会」で正に上記の思いや努力を本会という公平な場で塗装仕様を実用化するための数々の実験に携わり、標準仕様書を出し、その委員会設立当初から参加させて頂いた事は、私の人生において非常に有意義な活動であり、自身は勿論のこと所属企業もその間に成長をさせて戴きました。

2005年11月に発行した「建築用アルミ二ウム合金材料・焼付け塗装標準仕様書・同解説」により、それまで統一感の取れていなかった仕様書が統一され、工場の中における塗装の標準化が大きく前進しました。

更に建築建材において、現在でも未だ一般化していないクロムフリー系化成処理や環境配慮をする意味での6価クロム化成皮膜の皮膜量軽減、6価クロムフリー系化成処理を織り込んだ2013年6月発行の「建築用アルミ二ウム合金材料・加熱硬化形溶剤系塗装標準仕様書・同解説」に少しでも携われた事、またこの標準仕様書を基に工場における塗装、特に素地調整に陽極酸化皮膜処理かクロム酸クロメート、6価ク口ムフリー化成処理、クロムフリー系化成処理のいずれかをもって塗装をする工場塗装会社のみを全国から集め、当初19社により2014年1月に「アルミ二ウム合金材料工場塗装工業会」を立ち上げられた事は私にとって大変嬉しい事で、工業会と各企業からより良い製品を提供することが出来るように本会発行の標準仕様書をしっかり実行していく事、また素地調整の重要性を広く建築関連先に発信の努力をし、建築用アルミニウム合金材料に対する工場における塗装仕様の標準化と品質確保及びその普及促進に更に貢献して行きたいと思います。

今後は本会におきましても、環境配慮した特にVOCを出さない粉体塗装の標準化作業とクロムフリーの取扱いについての(管理方法)明確な提言等を発信すべく微力ながらお手伝いをして行きたいと考えていますし、その工場塗装における必要な啓蒙活動を強く推し進め、今後の建材に対する工場塗装の在り方も併せて確立して普及展開を図るように努力して参ります。

今回の技術開発賞受賞、本当にありがとうございました。

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