《外装カーテンウォールとのマッチング》
当該建物の外装は、白を基調としたカーテンウォールとブルーのガラスのコントラストで成り立っている。その中で、設備バルコニーは、控え目な存在ではあるが、外装の一構成要素としては大事な表現形ではある。
環境対応型高品質焼付け塗装システムの日本における展開について(文:野平修氏)*
Chapter 9
─ NSプロジェクト ─
施主: M地所 設計: M地所設計 施工: 鹿島東京建築支店 パンチング製造・施工: 旭ビルウォール
当該建物の外装は、白を基調としたカーテンウォールとブルーのガラスのコントラストで成り立っている。その中で、設備バルコニーは、控え目な存在ではあるが、外装の一構成要素としては大事な表現形ではある。
脇役である以上、コストアップは許されない。そんな時に、存在感を持ちつつ、安価で済むのがスチール製パンチングメタルである。切り板にドットの連続体をパンチングで抜いた形状は、単純にして意匠性に富み、存在感を出すにはうってつけな材料で、設計者が大変好む選択肢である。
スチールを外部に、しかも超高層ビルの外装に使うためには、防錆にはよリー層の気を使わざるを得ない。しかも、1.6mm厚さのパンチングの抜き型エッジ回りのカバーリングは重要なテーマである。ドライプロテクト60μ+高耐候性ポリエステル粉体塗装60μの防錆塗装仕様がここでも登場する。
カーテンウォールの周辺部材とはいえ、超高層ビル案件であるから、その製造個数は膨大なものとなる。ラインで大量生産をしていく場合に一番注意しないといけないことは、各種の生産設定条件を最良のものとしておくことである。そこで、パンチングパネルのラッキングの仕方やドライプロテクトの防錆塗装と高耐候性ポリエステル粉体塗装における昇温速度日キープ時間の管理などについて事前に十分検討を行い本生産に入った。
今回は、パンチングメタルということで、エッジ回りが極端に多いディテールである。切り口からの糸錆が懸念されるので、パンチングの抜き型回りの塗料の付き回りを注意した。結果、大量生産であったにもかかわらず、良い品質の部材を納品することができた。
パンチングメタルが現地に納まり、外装の1構成要素として存在する頃、業を同じくする人々から「なかなか良くできてるじゃないか。」との賞賛の声を聞かされた。外装周辺部材とはいえ、こうした話を耳にする時ほど外装技術コンサルタントとして生きてきて良かったと実感する次第である。
*野平修氏 野平外装技術研究所代表 元鹿島建設建築本部技師長